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2024-02-22

【対談記事】(後編)なぜパルコデジタルマーケティングはXRに取り組むのか?ーPDM 岡田 泰宏 × PDM 我妻 拓朗

【対談記事】(後編)なぜパルコデジタルマーケティングはXRに取り組むのか?ーPDM 岡田 泰宏 × PDM 我妻 拓朗

前編「なぜパルコデジタルマーケティングはXRに取り組むのか?」では、XR企画・制作事業に取り組み始めるまでの背景や理由、担当されたXR案件の誕生秘話などについてご紹介しました。今後の展望やお2人にとってXRとは何なのか。前回に引き続き、パルコデジタルマーケティング社員の岡田 泰宏さん、我妻 拓朗さんの対談をお届けします。

 

Written by Kojima(広報担当、趣味は山登りと国内旅行)

読み終わるまで:7分・最終更新日:2024年02月22日・11時00分


 

CONTENTS

■収益の多元化に繋がるリテールメディアとしての可能性

■XRとは「新しいコミュニケーションの場所」である

 

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岡田 泰宏株式会社パルコデジタルマーケティング​ 執行役員 兼 開発部部長)

1998年株式会社パルコに入社、2002年より株式会社パルコ・シティ(現、パルコデジタマーケティング)に出向、のち転籍。​20年以上に渡り、Webコンサルティング、オムニチャネル化支援、デジタルサイネージ等店頭DX支援など、パルコ・JFRグループ、​SC、小売業のDX支援事業に従事。​現在は、開発部にてPICTONAを中心とする自社プロダクトの開発を推進。2023年よりXR企画・制作事業をスタート。​

 

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我妻 拓朗(株式会社パルコデジタルマーケティング​ 開発部 メタバースプロジェクト担当)

米どころ新潟生まれ。大学ではメディア表現文化学を専攻しつつ、好きなファッションを研究。卒業後は大手アパレル企業に入社。店舗を転々とした後、より広く・より多くのお客様に関わり、お役に立てる場所を求めて、2019年にパルコデジタルマーケティングに入社。商業施設だけでなくリテイルクライアントも含め、幅広くWebサイトの構築・コンサルティング・支援を担当。現在は、開発部にてXR企画・制作事業のメタバースプロジェクトを担当。

 

 


 

■収益の多元化に繋がるリテールメディアとしての可能性

 

ーーそもそも「XR(メタバース)」はいつから注目されるようになったのでしょうか。

 

岡田 泰宏(以下、岡田):メタバースがにわかに盛り上がったのは、Facebookが社名をMetaに変更し、『Meta Quest』というゴーグルを発売したり、AppleもGoogleも『ARグラス』を発売し、参入するんじゃないかといううわさが出た頃からかと思います。その後新型コロナウイルス感染症が流行し、会社に出社できない状況下で、どうやってコミュニティを形成するかという文脈でさまざまなサービスが出てきたことや、ゲームの世界で任天堂の『あつまれ どうぶつの森』やEpic Gamesの『FORTNITE』が人気になったことでだいぶ市民権を得てきたように思います。

 

ーー私もゲームで体験したことがあります。メタバースの認知度はどの程度上がってきているのでしょうか。

 

岡田:まだまだ、一部のゲーマーやメタバースの住人以外には広がっていない状況はありつつ、Appleの『Vision Pro』が発売されて競合もポストスマートフォンとなる『ARグラス』を投入すると、もっと用途が広がったり、一般に普及していくと思います。例えば、視聴覚障がいをもつ方や、身体の不自由な方が体験価値を高めるために医療目的でつかわれるようになるとか。医療目的でいうと、人手不足を補完するために、遠隔で作業を支援するために使われるMR(複合現実)も普及していくんだろうなと思います。

 

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ーーなるほど!メタバースの可能性は無限大ですね。3年後、5年後に、パルコデジタルマーケティングでこんなXRサービスを展開していきたい!など、今後の理想像や展望があれば教えてください。

 

岡田:我々は、まず、リテールビジネス事業者に向けた、AR活用のベストプラクティスを見出し、リアル空間の新たな価値の創造を支援したいと考えています。単なるイベントの拡張だけでなく、収益の多元化に繋がるリテールメディアとしての可能性があると感じています。その後、完全な仮想空間での活動が広まっていく中で、VR内での活動支援や、NFT(非代替性トークン)等を使ったビジネス支援まで、広げていきたいと考えています。

 

我妻 拓朗(以下、我妻):そうですね!いま岡田さんのお話しにあったように、将来的にはデバイスもどんどん進化していきますし、XRの概念に馴染みのある僕らより若い世代が増えていくと思います。今当たり前にスマートフォンを触れるように、日常的にXRのコンテンツに触れるような世の中になってほしいと思っています。

当社の主なクライアントは商業施設や百貨店が多いですが、例えばテレビのチャンネルをぽちぽち切り替えるような感じで、リアルの施設で様々なXRコンテンツを行き来して楽しめたり情報を得られたりすると、ものすごい数のお客様の楽しみ方が生まれるんじゃないかと思います。それには技術の進歩が不可欠ですが、そのような世の中になると良いなと思います。

 

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■XRとは「新しいコミュニケーションの場所」である

 

ーーお2人にとって「XR(メタバース)」とは何ですか?

 

岡田:私は、2007年に米リンデンラボ社からリリースされたソフトウェア「Second Life(セカンドライフ)」がすい星のごとく現れて消えたときに、はじめてメタバースというものを知りました。当時、Second Life内に“銀座パルコ”という架空の店舗を作り、PARCOカードのキャラクター、よくパルコちゃんを操って、アバター用ウェアの物販やイベントを行いました。これまでのインターネットと違う、バーチャルだけど全く架空ではないパラレルワールドの存在意義や別の人生を送る面白さや可能性を感じました。

 

ーー今ほどメタバースという言葉が知れ渡っていない時代から、バーチャルやパラレルワールドなどを題材にした映画も制作されていますよね。仮想空間へのあこがれがあったからでしょうか。

 

岡田:そうですね。『マトリックス』『アバター』『レディ・プレイヤー1』など、人は昔から仮想空間・世界が存在することを夢見てきました。そして、夢に描いた世界を人は実現していっています。人間の歴史は、最初は自然という制約からの解放を目指し、それから物理的・経済的制約から解放されるために科学を発展させてきた歴史でもあります。今後、全てが仮想世界に置き換わるのではなく、メタバースである意味合いが強い用途や目的から生活に浸透していくのだと思います。その変化を恐れるのではなく、積極的に、体験やビジネスをより豊かにするために、さまざまなチャレンジをしていきたいと考えています。

 

我妻:僕にとって、XRとは「新しいコミュニケーションの場所」かなと思っています。スマートフォンに代表されるようなデバイスやSNSの進化に伴って、“人対人”や“人対企業”のコミュニケーションの取り方はどんどんすごいスピードで変わってきました。XRの場合、アバターに扮して他のユーザーと会話をするというのが分かりやすい例ですが、情報の伝え方・受け取り方がXRによって次のフェーズに行くことを期待しています。

 

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今回のインタビューを通して、変化を恐れず積極的に様々なチャレンジを続けているお2人の姿勢を見習わなければと思いました…!素敵なお話を聞かせていただきありがとうございました。